過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第30章 続・不運な男
「・・・・・・で?おまえら揃ってやって来て何の用だよ?
喧嘩でも売りに来たのか?」
開口一番不機嫌そうに言ったナイルに対し、
エルヴィンは高圧的に対応する。
「まさか。いくらおまえ達憲兵団が腐敗していようと
調査兵団に害が無ければ何の問題もない」
「やっぱ、喧嘩売りにきたんじゃねぇかっ!!!」
バンッ!とテーブルを叩くナイルに対し、
エルヴィンは平然と出されたお茶を飲んでいた。
このままエルヴィンに任せていては本題に入れないと思い、
エルヴィンを押しのけてナイルに話し掛ける。
「今日は喧嘩を売りに来たのではなく・・・その・・・
私のせいでドークさんに迷惑を掛けたと聞いたので
謝りに来たの・・・ですが・・・・」
何故かナイルに対してはしおらしく敬語を使おうとするナナシに、
エルヴィン達は一層不機嫌そうに仏頂面になる。
屈強な男三人に塞がれて見えなかったせいで、
ナイルは漸くここでナナシの存在を認識し、
口をパクパクさせながら驚愕した。
「ナ、ナナリーっ!?無事だったのかっ!?」
「お陰様で・・・」
「良かった!重体のまま行方不明って聞いてたから、
心配してたんだ!本当に無事で良かった!」
ナナシの手を握り、涙ぐむナイルは本当に人が良いと思う。
だが、すぐにエルヴィンによって繋がれた手をベリっと剥がされ、
ナナシは後ろに追いやられた。