過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第29章 運命の招待状
『親愛なる副長殿
貴方様が生きている事を知り、大変嬉しく思っております。
色々とお話したい事がございますので、我が屋敷にお越し
願えませんでしょうか?
お一人で来るのが不安であれば調査兵団の兵士をお連れ頂いても構いません。
副長がお世話になっているとの事ですので、
調査兵団への寄付も吝かではございません。
○日に王都でお待ちしております。
カール・フォン・ブラウヒッチュ』
手紙を読み終えたエルヴィンがナナシへ視線をやり
「それで、どうするつもりだ?」と尋ねると、
ナナシは少し逡巡した後「応じようと思う」と告げた。
「相手に私の居場所が知られている以上、
無視するのもマズイだろうからな。
調査兵団に累が及ぶかもしれんし・・・・」
その言葉からナナシが調査兵団の心配をしてくれているのだとわかり、
エルヴィンの心は温かくなったが、同時に『累が及ぶ』とは
どういう意味だろうかと少し思案する。
ブラウヒッチュという貴族が、これまでどこの兵団とも
繋がりを持っているという話は聞いたことがなかった。
寄付をしたという話もそうだが裏取引の話も、だ。
徹底して兵団と関係を持つことを避けていた貴族の登場は
一体何を意味するのか考えたエルヴィンは、ある結論に至る。
だが、その前にナナシがその答えを提示した。