過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第28章 ナナシの余命
「・・・すまない。忘れてくれ」
「スミス様のお気持ちはお察し致します」
ジャックはそれ以上何も言わなかった。
エルヴィンはナナシをどうにかして生かせないか考えたが、
普通の身体ではない彼を医者に見せる訳にもいかず、
手詰まり状態となった。
微妙な沈黙がその場を支配した時、部屋にノック音が響いた。
「ナナシの手当て終わったよ~エルヴィン」
入ってきたのはハンジとナナバとナナシで、
室内の微妙な空気に気づいたハンジは首を傾げつつも、
ナナシを傷つけた男より情報を取った事情が気になり
エルヴィンに尋ねる。
「ねぇ、話は終わったの?知りたい情報って一体何だったのさ?
ナナシを傷つけた男の身柄より大事な事だったの?」
エルヴィンだったら、あの男を死ぬまで拷問したよね?と
恐い事をあっさり言うハンジはエルヴィンとの付き合いが
長いので彼がそれくらい平気でやる男だとわかっている。
なので、エルヴィンがヒモロギの身柄よりも重要視した
情報とやらが気になった。
重苦しい空気の中、エルヴィンが口を開こうとした時、
ジャックがソファから立ち上がりナナシの下へ駆け寄って跪いた。