過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第27章 チェリー野郎の忠告
「つーか、てめぇの腕力はどんだけあんだよ?
人を宙吊りにする程槍をめり込ませるなんざ、
普通の人間には出来ねぇぞ。このゴリラ」
「おチビちゃんもなかなか鍛えているみたいだが、
地力が違うんだ。そこは嘆くとこじゃねぇさ」
「・・・誰も嘆いてなんかねぇよ」
呻いているヒモロギを殴って気絶させると、
ジェリーはやっと槍を抜きヒモロギを縛り上げた。
その作業を黙って見守っていたリヴァイは、ジェリーに尋ねる。
「エルヴィンとナナシの様子がおかしかった。
てめぇらは何を隠している?」
「何も隠してるつもりはねぇが・・・・どうやら、
おたくの団長さんはこの馬鹿から余計な事を聞いたみたいだな。
ジャックの話に乗るなんてよっぽど余裕が無いんだろう」
「・・・余計な事?」
リヴァイは遠くにいるエルヴィンとジャックの姿を見たが、
まだ何も話し合いは行われていないようで、
エルヴィンは兵士達に解散を命じているようだった。
だが、その顔色は悪く、何かに焦っているようにも見える。
「その余計な事ってのは何だ?」
「そんなに知りたきゃジャックの所に行けよ」
「俺はてめぇの監視をしなきゃいけねぇんだよ。
任務を放棄出来るか」
「真面目だな・・・。まぁ、安心しろ。俺はもう退散するからよ」
そう言うとジェリーはヒモロギを担ぎ上げ、
ジャック達に聞こるように声を上げた。