過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第27章 チェリー野郎の忠告
「おい、鎖とロープだ。どっちを使う?チェリー野郎」
「出来れば両方使いてぇな、おチビちゃん。
一つは小生意気なおまえに使いてぇよ」
ジェリーに手を貸す事になったリヴァイは、
紙が挟めそうなくらい眉間に皺を寄せながら彼にロープと鎖を差し出した。
ジェリーも額に青筋を立てながら軽口を叩き、
リヴァイの額に己の額をぶつけギリギリに睨み合う。
「おチビちゃんは背が伸びねぇな~。ちゃんと食ってんのか?」
「あぁ、ナナシと楽しく食ってるから問題無ぇ。
どっかの腰抜けと違って俺はあいつとの距離を縮める気だからな」
「ほほう?」
「あぁ?」
リヴァイとジェリーの険悪なムードに周囲の兵士達がドン引きし、
近寄れないでいた。
ここにハンジがいてくれたら、きっと笑い飛ばしてくれただろうが、
生憎彼女は今ナナシと一緒に医務室である。
部下達は二人を遠巻きに見ながらオロオロするしかなかった。
少しすると二人は「ふん!」と顔を背け合って離れ、
串刺しになっているヒモロギの下へ向かった。