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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】

第26章 最後の眷属『ヤンデレ』













退く気のないエルヴィンの態度にジェリーがどうすべきかと
頭を掻いていると、暗闇から「取引致しませんか?」という声が聞こえてきた。

姿を現したのはジェリーの双子の弟のジャックで、
白いスーツと長めのロングコートを着た彼は、
ジェリーとは何もかもが正反対で物腰も柔らかだが、
エルヴィンとしては「厄介なのが出て来たな」という
印象しか出てこない。


これならジェリーを相手にしていた方がマシだったなと
心中で舌を打つ。


「そんな嫌そうな表情をなさらないで頂きたい」

「顔には出してなかったつもりだが?」

「えぇ、顔には出ていませんでしたよ。ですが、
大抵の人間は私の姿を見ると『厄介な奴が出て来た』と
思うらしいのですよ。兄からの情報です」

「・・・だろうな」


相手は気を使う必要のない人物なので、
エルヴィンの態度も自然と辛辣になったが、
聞きたいことは聞き出さねばと頭を切り替える。


「それで、取引というのは?」

「此方が欲しいのはヒモロギの身柄です。・・・まぁ正直言いますと、
次の日には牢獄から忽然と消えていると思うので
そちら様に渡しても構わないのですが、ナナシ様が
逃したという難癖を付けられても困りますので、
今の内に回収しておきたいのですよ」


エルヴィンには説明を端折ったが、眷属達は長くこの世界に
留まれないので、ヒモロギを拘束しても数時間後には異世に
強制送還される仕組みになっている。

それを「ナナシが逃した!」と疑われるのは不本意なので
ジャックとしては、今回収しておきたかった。


「此方がヒモロギの身柄をそちらに渡す見返りは?」

「・・・・・スミス様がお知りになりたい情報一つと交換で
如何でしょうか?ただし、私も知らない情報がありますので、
意に沿うかどうかはわかりかねますが・・・」





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