過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第26章 最後の眷属『ヤンデレ』
慇懃な態度で頭を下げるジャックに対し、
エルヴィンは逡巡する。
果たしてこの男にナナシの余命を聞いて、
求めている答えが貰えるだろうか?
ナナシを抱く腕に自然と力が籠もると、
ナナシは心配そうな目でエルヴィンを見上げた。
その目は「お願いだから何も聞かないで欲しい」と言っているようで、
エルヴィンの心を波立たせる。
「・・・・わかった。ジャック、君との取引に応じよう」
「っ!エルヴィン!」
「ナナシはハンジ達と医務室へ」
ナナシが声を上げたが、それを無視したエルヴィンは
ハンジ達にナナシを連れて行かせた。
彼がここにいては聞きたい話も満足に聞けないだろう。
ナナシも何を言っても無駄だと判断したのか、
渋々といった様子でハンジとナナバに背中を押され
医務室へ歩いて行った。