過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第26章 最後の眷属『ヤンデレ』
「ざまぁねぇな、ナナシ。あれだけヤンデレには気をつけろって
言っといたろ?そんな甘い所も可愛いが、怪我までしてちゃ
目も当てられねぇ」
小馬鹿にするように嗤ったジェリーを睨みつけながら
ナナシは問い掛ける。
「ジェリー、お主の用件はなんだ?」
「言ったはずだ。ヒモロギの馬鹿を連れ戻しに来ただけだ、と。
安心しな、おまえの許し無しに他の奴らに手を出す気は無いぜ。
まぁ、そっちが手を出すなら正当防衛で容赦なく殺すが・・・」
ジェリーはチラリと隣にいるエルヴィンを見遣り、
相手の反応を窺った。
「全員、この男には手を出すな!この男は敵ではない。
刃を納めろ!」
エルヴィンがその意図を察して全兵士に命令を出すと、
ジェリーは「賢い選択だ」と笑った。
「何か頑丈なロープか鎖ねぇか?あいつをふんじばって帰るからよ」
「待ちなさい。君に危害を加えるつもりはないが、
危害を加えてきたヒモロギの身柄を引き渡すとは言っていない」
「あぁ?」
ジェリーは言っている意味がわからないという表情をエルヴィンに向けたが、
エルヴィンとしてはヒモロギの発言の真偽などを確かめる為、
投獄したかった。
恐らくナナシに尋ねてもはぐらかされるだけだろう。
―――本当にナナシの余命は一ヶ月しかないのか。