過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第26章 最後の眷属『ヤンデレ』
「・・・ナナシを相手にしているようなもんか」
冷や汗を流しながらもリヴァイには何故か余裕があった。
確かに目の前にいる青年は化物並みに強いかもしれないが、
ナナシよりも動きが悪いと思ったのだ。
手負いだという事を差し引いても、動きに無駄が多く、
攻撃が読みやすい。
それはきっとこの数ヶ月ナナシの動きを見続けてきた
賜物かもしれない。
要はナナシの速い動きに目が慣れてしまったので、
ヒモロギの動きに着いて行くことが出来るようになっていたのだ。
だが、だからといって地力や剣術、体術の腕は相手の方が上なので、
気は抜かない。
相手は自分のような立体機動装置とは違い、
レイピアやナイフを使っているだけなのだ。
ガス切れを待たれたり、装置を破壊されれば自分に勝ち目はないだろう。