過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第26章 最後の眷属『ヤンデレ』
「・・・チッ!邪魔なんだよ、あの金髪野郎」
「どこ見てやがる!?このキチガイ野郎!」
リヴァイの攻撃は負傷しているヒモロギを
追い込んでいるかのように見えるが、ナナシは不安を抱く。
眷属である五人にはそれぞれナナシを守るための特殊能力が備わっていた。
それをこの世界で使うことはルール違反だが、
ヒモロギがいつそれを発動してもおかしくはない。
そうなれば危ないのはリヴァイだ。
ナナシはリヴァイに聞こえるように声を張り上げた。
「リヴァイ!影に気をつけろっ!死角から攻撃が来るぞ!」
「・・・っ!?」
経験と反射神経で死角からの攻撃を察知したリヴァイは、
間一髪でヒモロギからの攻撃を避けた。
それはヒモロギの影から伸びた攻撃で、
リヴァイはすぐに以前ナナシが調査兵に襲われた時
使っていた攻撃だという事に気づき、警戒心を上げる。
今の今まで目の前で対峙する青年が何者かなどわからなかったが、
その攻撃だけでナナシの身内なのだと理解し、
一筋縄ではいかない相手だと認識した。