過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第26章 最後の眷属『ヤンデレ』
リヴァイ達が来た事により、やっと我に返ったエルヴィンが
兵士達に指示を出す。
「殺すな!生け捕りにしろ!」
「はい!団長!」
エルヴィンの命令に頷いた兵士が生け捕り用の網を投げようとしたが、
ヒモロギは驚異的なジャンプ力で樹の枝に飛び乗った。
「バーカ、おまえらみたいな三下に捕まるとでも思ってんのか?」
樹の上で高笑いを始めたヒモロギを尻目にミケとナナバが
エルヴィン達の下に駆けつけ、声を掛ける。
「大丈夫か?何があったかは後で聞く。今はこの場を離れるぞ」
「応急処置はしてるね。すぐ軍医の所に行こう」
矢継ぎ早にそう言った二人にナナシは「待て」と制止する。
まだ爆発するナイフを持っているかもしれない上、
エルヴィンが潰した片目も見え始めているのだ。
対峙したエルヴィンもその実力をわかっていたので
ミケに指示を出そうと口を開いたが、その前にリヴァイが
樹の上にいるヒモロギに攻撃を仕掛けた。
立体機動での高速攻撃を避けたヒモロギは撤退を余儀なくされたようで、
どんどんエルヴィン達から遠ざかったが、
視線はエルヴィンに守られるように抱かれているナナシに
向けられていた。