過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第26章 最後の眷属『ヤンデレ』
「くそがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!殺してやるぅぅぅぅ!!」
発狂したように叫びながら、ヒモロギがエルヴィンへにじり寄った時
「何の騒ぎだっ!?」
と兵舎から調査兵団の兵士達の足音が響いてきた。
多数の人間が集まってくる気配を察したヒモロギも冷静になったらしく、
どうするか思案するように目を泳がせる。
あれだけ大声を上げたり、爆発音がしたりしたのだから
兵士達が騒ぎに気づくのは当たり前である。
エルヴィンは余裕の表情でヒモロギを見下した。
「すまないが、ここは我ら調査兵団の敷地だ。本音を言えば
その命を貰いたい所だが、今日は見逃してやる。さっさと失せろ」
格下と侮っていた相手にそう言われたヒモロギは
屈辱の表情を浮かべながら、ナナシへ言った。
「どうしてっ!?どうしていつも俺を選んでくれないんだっ!?
いきなり金髪碧眼の男に惚れたと思ったら、あいつの所に
行っちゃってさ!すぐにあの男が死んだから安心してたのに、
今度はその死体を探す?どんな冗談なんだよっ!?
全然見つからないじゃないか!俺がこんなに愛しているのに
見向きもしないで死体集めなんて・・・っ!」