過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第26章 最後の眷属『ヤンデレ』
「離れたら・・・此奴の身の安全を保証するのか?」
「さぁ?ナナシ次第なんだけど・・・・」
「ならば、私はここを退く訳にはいくまい」
「そう・・・・ナナシは自分の身体より、その男を取るんだね」
瞳孔が開いた眼でヒモロギがエルヴィンを睨む。
エルヴィンは捨て身になって自分を守ろうとしてくれているナナシに
諭すように声を掛けた。
「ナナシ・・・私から離れなさい。君の身体の方が大事だ」
「しかし、そうしたらお主が・・・」
「君の身内がどれだけ強くても私も軍人だ。自分の身は自分で守る」
「・・・・・わかった」
以前ハンジがツクモと交戦した際、
組み合うことも出来なかった事を考えると、
エルヴィンの実力ではヒモロギには敵わないだろうというのは
エルヴィン自身も理解していた。
しかも今のエルヴィンは丸腰だ。
ナナシの部屋でシャワーを浴びた後、
マインゴーシュを装備せず部屋に置いてきてしまったのだ。