過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第26章 最後の眷属『ヤンデレ』
「・・・金髪碧眼の男か、忌々しい。ナナシもつくづく懲りないね。
人間なんかと仲良くしたって裏切られるだけじゃないか。
そいつだって、もっとナナシを傷つける。その前に俺と帰ろう?」
憎悪の眼差しを向けられながらエルヴィンは毅然とした態度で
ヒモロギに対峙する。
「私にナナシを傷つける気は無いし裏切る予定も無い。
申し訳ないがお引取り願えるだろうか?ここは兵団の敷地内で、
一般人の立ち入りを許可した覚えはない。それが例え
ナナシの身内であろうともね」
「俺だって好きでここにいる訳じゃない。ナナシと一緒にすぐ立ち去るさ」
「ナナシは今は兵団の人間だ。ここから出て行く事を許可出来ない」
「許可なんか必要無い。ナナシは連れて帰る」
「ヒモロギ君と言ったね?君に言っておきたい事があるのだが・・・」
「あ?」
一呼吸置いたエルヴィンは、ヒモロギに不敵な笑みを浮かべて言い放った。
「ナナシはもう帰すつもりは無い。この子は俺と生涯を共にさせる」
暫しの間、沈黙がその場を支配した。
エルヴィンはヒモロギに喧嘩を売ったのだ。
ナナシがエルヴィンの服を掴んで引くと、
彼は優しい笑顔をナナシに向けその肩を抱いた。