第26章 最後の眷属『ヤンデレ』

「エルヴィン、あやつと少し・・・二人だけで話をしたいのだ。
部屋に戻っていてくれ」


どうか何事もない内にエルヴィンにはここを去って欲しい・・・。

だが、ナナシの願い虚しく、エルヴィンは真っ直ぐ
ヒモロギを見据えながらナナシに問うた。



「彼は誰だ？ナナシ・・・知り合いか？」

「あぁ、私の『家族』の一人で名前はヒモロギ。
・・・ヤンデレと言われている男だ」



ここまで来たらエルヴィンにも知っておいて貰った方が良いと判断し、
ナナシがわかりやすく答えると、エルヴィンの警戒が格段に上がった。

ナナシから発せられる空気に彼が友好的では無いのだと
すぐ理解出来たし、何よりヒモロギから向けられる敵意剥き出しの視線が
エルヴィンを見据えているのだ。

ヒモロギは少し間を開けると、盛大に舌打ちをして
エルヴィンを睨みつけた。