過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第26章 最後の眷属『ヤンデレ』
エルヴィンが意識を手放した事を確認したナナシはホッと息を吐く。
そして他の面々の様子を窺い、
全員の意識がはっきりしていない事を確認すると、
ナナシはそっと部屋を抜け出した。
誰もいない薄暗い廊下を足早に歩きながら、嫌な汗を拭う。
エルヴィンの意識を奪ったのには理由があった。
宴会の終盤から此方を窺う人ではない気配を感じていたからだ。
その気配は殺気も帯びており、ナナシに
「早くこちらへ来い」と言わんばかりの空気を醸し出していたが、
どうやらエルヴィン達には気付かれずに済んだらしい。
雰囲気からしてエルヴィン達と会わせない方が良いだろうと
直感的に感じたナナシは、こうして一人で赴くことにしたのだった。