過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第25章 酒盛り
突然、自棄食いのようにバクバクと食べ始めたナナシを見て、
リヴァイ、ハンジ、ミケはエルヴィンに向かって
「ナナシに謝ってやれ」と言ったが、当のエルヴィンは
「何故だ?」と首を傾げた。
「私の愛情の深さを示しただけなのに、何を謝る必要がある?
理解出来んな」
「エルヴィンのはもう愛情じゃなくてドロッドロした独占欲だよ・・・・」
ハンジが眉をハの字にさせて苦言を呈したが、
やはりエルヴィンは不思議そうにするだけだった。
「独占欲の何がいけない?」
「あのねー・・・例えばだよ?調査兵団のパトロンの中に
エルヴィンの事が妄信的に大好きなお嬢様がいるとするね?
で、その子が勝手に『エルヴィン様は私の事を愛しているの!
私と結婚するのよ』って言ってきたらどうする?」
「それはもう丁重にお断りするに決まっているだろ?
私にはナナシがいるからね」
それはもう良い笑顔で言ったエルヴィンに、
ハンジは「はい!ストップ!」と手を翳した。
「今の例えで言うと妄言を吐いているお嬢様がエルヴィンで、
そのお嬢様に言い寄られているエルヴィンがナナシなんだって。
理解出来た?」
「・・・・・・・・・」
エルヴィンは顎に手を当てて、考える仕草をしてみせたが、
少しすると「いや、ちっとも理解できんな」と首を振った。
その反応にハンジ達はげんなりする。