過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第25章 酒盛り
「ほ、・・・他の男と寝てやる・・・・」
その言葉に今まで傍観を決め込んでいたリヴァイ達三人が、
飲んでいた酒を思いっきり吹き出して噎せた。
まさかの台詞にエルヴィンは目を丸くして固まっている。
ナナシは言ってから「しまった!」と思ったが、
一度口から出た言葉は元には戻らない。
何故そんな事を言ってしまったのかとナナシが頭を抱えていると、
隣から弱々しいエルヴィンの声が聞こえてきた。
「ナナシ・・・それは酷いよ。嘘でも冗談でも酷い・・・。
私の気持ちを知りながらそんな酷い事を言うなんて・・・
こう見えて私はとても繊細なんだ・・・」
エルヴィンは両手で顔を覆って俯きながらナナシに泣き言を漏らした。
まさかの反応に今度はナナシが絶句する。
いつものエルヴィンなら勢いに任せてナナシを押し倒してきて、
発狂したように支離滅裂な事を言うのに、今は珍しく弱気だ。
本当にエルヴィンを傷付けてしまったのかという不安が脳裏を掠めたが、
次に発せられた言葉に考えを改める。