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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】

第24章 諱(いみな)










「ナッちゃん・・・いえ、『乙白百合姫様』。
貴方のお言葉なれど、それは・・・・」

「『私が』良いと言っているのだ。眷属であるお主に
口出しされる謂れはない」

「・・・・・申し訳ございません」


普段ナナシは眷属達に高圧的な態度を取ることはない。

だが、ツクモが『異世』でのナナシの『諱(いみな)』である
『乙白百合姫』の名を発せばそれも変わる。

ツクモが主に対し正式に訴えた言葉を、正式に却下する為には、
主として接しなければならない。

ナナシはこのやり方が嫌いだったが、
ツクモを強制的に黙らせるには必要だった。




基本、眷属は主に対して『絶対服従』である。



特にこの『諱』を使う際は、その効力が100%発揮され、
眷属はどんな理不尽な要求も飲まざるをえない。

『異世』においても、ナナシ達『妖』にとっても、
名はとても重要なものだった。



『絶対服従』が発動したツクモは押し黙り、
暫くの間沈黙が二人の間を漂ったが、
少しすると膝をついていたツクモが腰を上げ、
眉尻を下げながら微苦笑を浮かべた。


「あんたがそう言うんなら、承りましょ。
他の三人にもお咎め無しやって伝えとくわ。
ほんま、甘いやっちゃな・・・」


普段の口調に戻ったツクモに内心安堵しながら、
ナナシもそれに応じるように笑みを浮かべる。





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