過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第24章 諱(いみな)
「・・・ジャック、ジェリー、イサザの件に関しまして
自分の監督不行き届きでした。我らは一蓮托生・・・
どのような罰も受ける所存です。どんな理由があろうとも
主の意に反したのは事実・・・我らに処罰をお与え下さい」
畏まった口調はいつもの軽薄そうなツクモの雰囲気を一変させる。
申し訳無さそうに断罪を望むツクモにナナシは大きく溜息を吐き
「否」を唱えた。
「その件に関してお主達に与える処罰は無い」
「・・・しかしっ!」
「今回の件では確かに色々と・・・あったが、
悪い事ばかりでは無かったと思っておる。
私の心の在りようをきちんと認識出来た。
それは大きな意味を持つと思っているから・・・だから、
何も責める事など無いのだ」
その言葉にツクモは難色を示す。
ツクモ達眷属は『異世』からなかなか出て来れないが、
此方の世界にいるナナシの様子を窺い見ることは出来る。
だから、ナナシが此方の世界に戻ってから、
エルヴィンに何をされたか等が筒抜けだった。
自分の主がこの世界で被った不幸(?)を鑑みれば、
その手助けをしてしまった自分達に罪がないとは言えない。
寛大過ぎる主の言葉にツクモは眉根を寄せて反論した。