過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第24章 諱(いみな)
いつものように兵士達の鍛錬具合を見ながら訓練メニューを調整していると、
見知った気配が近づいてくるのにナナシは気付いた。
人間ではないその気配は、ナナシの背後に立つと独特な口調で
話しかけてきた。
「体調悪そうやな、ナッちゃん」
ナナシはクスリと笑うと後ろに向き直り、
話し掛けてきた男と対峙する。
「そう見えてしまうか?これでも普通にしているつもりだが・・・」
「そやね。普通の人間やったらわからんと思うで?
でも俺ら眷属には嫌でもわかってまうわ」
「そうか・・・・」
調査兵団の皆にバレていなければ問題は無い。
ナナシの心中を察してか、話し掛けてきた男
―――眷属の一人であるツクモは苦笑を浮かべた。
「随分とまぁ、団長さん達に肩入れしとるなぁ・・・
嫉妬してしまいそうや」
「冗談はやめろ。それで今日の用件は?」
本題を促すとツクモは真剣な表情で、
ナナシの前に跪き頭を垂れた。