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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】

第23章 負けた・・・









―――四日後、調査兵団はウォール・ローゼに帰還した。

今回の壁外調査では概ね目標を達成できたが、
犠牲をゼロにするのは不可能で、壁の中に帰還するといつものように
民衆からの罵声が調査兵団に投げつけられた。


ナナシはそんな罵声を聞きながら『迅鬼狼』を思い出していた。

ソロモンが処刑される直前まで民衆は『迅鬼狼』に好意的で、
こんな罵声はあまり浴びたことがなかった。


それなのに調査兵団だと何故こんなにも反感を買うのだろうか?
やっている事や犠牲の数は『迅鬼狼』も調査兵団もあまり変わらないというのに。


何者かによって情報と民意が操作されていると考えるのが
自然だろうか・・・。


エルヴィンはこの事をどう考えているのだろうと思い、
視線をエルヴィンへ向けると、彼も此方を見ていて目が合った。

だが、その視線はすぐに外され、エルヴィンは罵倒される道を
真っ直ぐ進んで行ってしまった。

ナナシはらしくないエルヴィンの態度に、心中で首を傾げる。


一瞬だけ合った目に浮かんでいたのは探るようなものだった。

目を逸らされた時、浮かんでいた彼の表情は気まずそうなものだった。


エルヴィンの真意がわからないまま、
ナナシは調査兵団本部までの道のりをゆっくり進んだ。






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