過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第23章 負けた・・・
「解散のはずではないのか?」
「その通り、今からは自由時間だ」
「何故着いて来る?」
「それは私が君と一緒に居たいからだ」
「私は一人でいたいのだが・・・」
「壁外でそんな我儘を許すとでも?」
「・・・・・・・・」
おまえのも単なる我儘だろう!?とツッコミを入れたくなったが、
多分言っても無駄なのでナナシはエルヴィンを無視し、
寝床に最適な場所を探すため歩き始める。
エルヴィンが当たり前のように寝袋を持って着いて来たので、
ナナシは色々と諦めた。
こういう時、エルヴィンに何を言っても無駄だと学習済みだ。
良い感じに朽ちた廃屋を見つけ、壊れたベッドに毛布を敷いて横になると、
エルヴィンがまた当たり前のような顔で同じベッドに
潜り込んできたので、流石にそれには非難の声を上げる。
「おい!お主が乗ると狭い。床で寝ろ」
「酷いな。一緒にいるのに床で寝ろというのか?」
「勝手に着いて来たのはお主だろう!?私の知ったことではない!」
疲れているのはお互い様だろうが、ナナシは索敵能力全開で
一日過ごしていたので少しイライラしていた。
一向に退こうとしないエルヴィンを寝台から
蹴り落とそうかと考えていると、
急に真面目な顔をしたエルヴィンが「本当に良かった」と
目を細めた。