過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第23章 負けた・・・
「それで用件はこれだけか?明日のためにもう寝たいのだが・・・」
無言のままガックリ肩を落とすエルヴィンとミケに、
ナナシがそう声を掛けると気を取り直したエルヴィンが
「まだだ」と引き止める。
「ナナシ・・・君は明日も索敵能力は使えそうか?」
そう問われナナシは少し考え込んだ。
正直ナナシにも何故索敵能力が復活したのかよくわからない。
寿命は関係なく、精神的なものが関係しているのだろうか?
不安要素を抱えたまま安易な事は言えない。
逡巡したナナシがエルヴィン達に自分に索敵能力が
無いという前提で進軍を進めて欲しい旨を伝えると、
表情を切り替えたエルヴィンから「わかった」と了承された。
エルヴィンとしても不確定要素が大きいナナシの能力を
当てにしない方が良いと判断したのだろう。
ナナシとしてもその方が気が楽だ。
「ただし、何か異変を感じた場合は報告するように・・・」
最後にそう締め括られ、四人は解散する事になったが、
ナナシにピッタリとエルヴィンが着いて来たため
思わず溜息を吐く。