過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第22章 許せないのは・・・
「・・・・・ん・・・・」
ナナシが重たい瞼を上げると、目の前にはエルヴィンの
整った顔があり驚愕のあまり声を上げそうになったが、
彼が眠っていたので寸での所で何とか声を殺した。
自分は混乱してリヴァイにこの身を委ねてしまったはずなのに、
何故隣に眠っているのがエルヴィンなのだろうかという疑問が
湧いたが、すぐに気まずさでエルヴィンを直視出来なくなった。
リヴァイに抱かれた事をエルヴィンはどう思うだろうか?
居た堪れなくなってエルヴィンに気付かれないように
部屋を出ていこうとすると、ぐっと腰を引かれてドキッとした。
見ればエルヴィンは目を開けていて、ナナシをジッと見つめていた。
「おはよう。気分はどうだい?」
「あ、あぁ・・・悪くない」
「そう・・・・良かった」
愛しいものを見るようにエルヴィンの目が細められるのを見て、
ナナシの良心が痛む。
自分はエルヴィンの恋人でも何でもないが、
彼に告白され続けている身として不誠実過ぎると
自己嫌悪が生まれた。