過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第22章 許せないのは・・・
床に毛布を敷いて丸まって眠っているナナシの姿は普段なら
微笑ましく思えるが、リヴァイと関係を持った後となると
流石にそうはいかない。
少し苛立ちながらナナシの寝顔を覗き込み、
そっとその白い頬に触れると、ナナシが僅かに身動いだ。
どうやら熟睡しているようで、それには少し安堵する。
リヴァイの言う通り、エルヴィンにもナナシに
大分無茶を言っている自覚はあった。
その結果がこの状況であり、エルヴィンは苦渋に満ちた表情で
ナナシを見つめる。
ナナシはエルヴィンが吹っ掛ける無理難題を叶えようと
頑張ってくれていると思う。
自分もそんなナナシに報いたいと思うのに、
立場や状況がそれを許してくれず、いつも歯噛みするばかりだ。
「ナナシ・・・私は君を愛する事しか出来ないのだろうか?」
額にキスを落とすと、エルヴィンはナナシの隣に寝転がり、
暫しの休息を取る事にした。