過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第22章 許せないのは・・・
「ナナシの身体を・・・おまえは見たのか?」
「・・・あぁ。強姦されそうになったあの日に・・・
あいつから見せてきた。調査兵団を去る気だったみてぇだが、
何とか引き止められた。エルヴィン・・・あいつは
おまえが思っているほど強くは・・・・」
「何度も言わせるな。そんな事おまえに言われなくても
わかっている。弱さを持っているナナシだから他人の痛みがわかる。
俺はそんなナナシだから愛しているんだ。強さだけを
求めている訳じゃない」
「だったら、何でいつもあいつに無茶を言いやがるんだ?」
真っ直ぐに突き刺さるような眼差しを向けてくるリヴァイに、
エルヴィンは珍しく目を逸らして語った。
「どうやら私はナナシに甘えてしまうようだ。
『ナナシなら出来る』・・・と。ナナシもそれに
応えてくれるものだから、つい甘えに拍車が掛かってしまう」
予想外に答えにリヴァイは目を丸くしてエルヴィンを見遣った。
まさかエルヴィンから『甘え』という言葉が出てくるとは
思わなかったからだ。
全く随分とわかりにくい甘えだな、と少し呆れながら
リヴァイはエルヴィンに背を向け歩き出した。
「リヴァイ、おまえがサボった会議の内容をミケから聞いておけ」
「了解だ、エルヴィン」
去っていくリヴァイにそう声を掛けると、
エルヴィンはナナシが眠っている部屋へと入った。