過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第21章 不調の壁外調査
「元々、怪我をして本調子じゃなかったおまえを壁外調査に
参加させた俺達に責任があるんだ。おまえが無事で良かったと思っている」
「・・・・・・それは死んだ兵士にも言える言葉か?」
つい八つ当たりのような事を言ってしまい
「しまった!」と後悔したが、一度口から出た言葉は戻らない。
リヴァイは一瞬黙ったが、すぐに
「あいつらには恨むなら俺を恨めと言ってやるさ」と
苦笑しながら言葉を続けた。
「ミケに聞いた。おまえ巨人に襲われて吹っ飛ばされたらしいじゃねぇか」
今ナナシの頭には包帯が巻かれており、
命があっただけでも運が良かったのだ。
「倒れてもすぐに体勢立て直して、巨人を削ぎに行った時点で
おまえはすげぇよ。普通、頭が混乱して次の行動には移れないもんだ。
それが死んだ奴らと生き残ったおまえとの違いかもしれねぇ。
もう何言ってんのかわかんなくなってきちまったが、
一つ言いたいのは生き残った事を後悔すんじゃねぇって事だけだ。
死んだ奴らも生き残った癖に後悔なんてされたら
腹が立つと思うぜ?」
「・・・・・・・・」
リヴァイの言葉は必死にナナシを励まそうとしているもので、
とても温かかった。
思わず目から涙が溢れ、それを見られないように毛布を頭から被る。