過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第21章 不調の壁外調査
エルヴィンに体調以外の原因を問われ、ナナシはある可能性に思い至った。
この身体の寿命の問題だ。
調査兵団の教官になった時点でこの身体の寿命は一年くらいだったが、
無理がたたって今や半年と保たないかもしれない。
そうなると索敵能力が復活するとは考えにくく、
今後一切使えないだろう。
認めたくはないが肉体が死に向かっていくのならば、
ナナシ自身の戦闘力もどんどん落ちるということだ。
だとすればもうエルヴィン達の役には立てない。
自分の存在意義が無くなり大手を振って
調査兵団を辞められるかもしれないが、
ナナシにとってそれはあまり嬉しくない辞め方だった。
この世界では戦う事で自分の価値を見出してきたのに、
それが無くなると思うと恐怖しか感じない。
―――自分はあとどれくらい戦えるのだろうか?
毛布に包まりながらカタカタ震えていると、
「おい、大丈夫か?」
いつの間にか近づいてきていたリヴァイに背中を擦られ、
ビクリと大きく身体を震わせる。
こんなに接近されても気づけないなんて・・・と悔しく思っていると、
リヴァイは柔らかな声色で「自分を責めるな」と諭してきた。