• テキストサイズ

過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】

第3章 不運な男









「・・・・なぁ、エルヴィン。おまえは本当にナナリーを
愛しているのか?」


その言葉にエルヴィンの眉が釣り上がった。


「愚問だな。俺は昔から彼女だけしか見ていないし、
他の者など愛してもいない。だが・・・」


一回言葉を切ったエルヴィンは辛そうに言った。


「ナナシが銃弾に倒れる一週間程前から、突然避けられ始めた。
ナナシが何を考えているのかわからず、話し合う事が出来ないまま
連れ去られてしまった。今でも俺は後悔している。
何故ナナシとちゃんと話さなかったのか、と。しかし、
臨時教官であるナナシの捜索は私情に当たると判断し、
混乱を避けるため部下にも言えなかった。おまえにも何度か
協力を求めようと思ったが、たかが一人のために軍を動かせと
何故言える?俺にとっては大事な人でも、兵団にとっては
違うんだ。わかるだろう?ナイル」


飲み込んだ言葉にも答えてくれたエルヴィンに、
ナイルは彼の立場や組織の事を思った。

兵団を束ねる団長として考えれば、確かにそうかもしれない。

兵団は私物でも何でもなく、民衆の税金で動いているのだ。

それを教官とはいえ、たかが一人のために動かすなど
あってはならないことかもしれない。

だが、ナナリーは誘拐されたのだ。

民衆の安全を維持する者として、捜索願いを出してくれれば
ナイルだって動ける。


エルヴィンは何故そうしなかった?




/ 403ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp