• テキストサイズ

過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】

第19章 八割まで戻せ












エルヴィンはそんな二人を追い掛けることはせず、
一人残されたナナシを壁際に追い詰めていた。

元々の元凶は目の前にいるこの白い小悪魔だ。

その元凶にエルヴィンが受けた精神的ダメージ分
贖って貰うのが筋というものだろうと、
脳内で自己弁護を繰り広げながらジリジリと
ナナシを自分と壁の間に閉じ込めた。


「ナナシ、君の行動はわざとなのか?私を煽って嫉妬させるのが
君の戦術なら大したものだ。私にはとても効果的だったよ」

「何の事だ?お主の言っている意味がわからぬ。
私はただ二人から血を貰っただけではないか」


カタカタと身体を震わせているナナシは実に可愛らしいが、
エルヴィンはそんな事で追及を止めるほど優しい男ではない。


「目の前で他の男達とのキスを見せつけられた俺が
どんな気持ちだったか・・・君にわかるか?」

「あれは・・・あやつらが望んだ事で・・・」

「そんな望みは無視して、強引に他の所から血を頂いてしまえば良かったんだ」

「血を貰う手前、そういう訳には・・・」

「だからと言って、シモの世話までする必要はなかっただろう!?」


ガンと壁を殴りつけると、ナナシの身体がビクリと大きく震えた。


「俺は怒っているんだ、ナナシ」

「そう・・・らしいな・・・・」

「何故怒っているか、わかって貰えたか?」

「・・・・・・・・・・・」


ナナシは口を一文字に引き結び、黙り込んだ。




/ 403ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp