過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第19章 八割まで戻せ
「では遠慮無く頂くが、リヴァイ・・・
どこから血を抜き取って良い?」
「エルヴィンの時はどこから吸った?」
「首筋だったな」
「ほう?他にイイ場所はあるか?」
「治りやすさで言えば指とか・・・・・あー・・・・」
前にもこんな流れがあった事に気づき、ナナシは口を噤む。
口腔内の粘膜と答えてしまったら、何かまずい気がした。
「おい、途中で言葉を濁すんじゃねぇ。指は却下だ。
俺は・・・そうだな、口の中から血を吸ってもらおうか」
ニヤリと笑ったリヴァイの顔を見て、ナナシは思わず
「心の中を読んだのか!?」と叫んでしまった。
「何言ってやがる。口の中を切っても治りが早いってのが
俺の経験だったが・・・・そうか、おまえは知っていたのか。
知っていて俺にその提案をしなかった、と。
いい度胸してんじゃねーか。ほら、さっさと血を吸え」
「・・・・・やっぱ首筋で」
「却下だ」
「うぅ・・・わかった」
恐る恐るといった感じでリヴァイに近づくと、
簀巻き状態のエルヴィンが激しく暴れ始め、
ゴロゴロと床を転がってきたので、ナナシは足でそれを受け止めた。