過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第19章 八割まで戻せ
あぁ、今日は良い天気だなー。
遠い目で窓の外を見るナナシを不憫に思ったハンジとナナバは
仮眠室にある布団を持ってきて、エルヴィンを簀巻き状態にし
床に転がすと、片手を上げて「じゃ、あと頑張って」と言って
去って行った。
部屋に残されたのがナナシと縛られた屈強な男三人という、
どう見てもアブノーマルな状況である。
万が一、部下が来たら変な噂が一発で立ってしまうだろう。
それはなるべく避けたいのでナナシはとっとと吸血する事にした。
どちらから吸おうかと考えていると、リヴァイから
「俺から吸え」と言われ首を傾げる。
「ミケを噛んだ後なんざ冗談じゃねぇ」
そういえばリヴァイは潔癖症だったなと思い出したナナシは、
リヴァイの言う通り彼から血を頂くことにした。
ミケからも反対されなかったので別にどうでも良いのだろう。
ただ簀巻きにされ猿轡を噛まされているエルヴィンは
「んーんー」唸っていて何か思うところがあるようだが、
ナナシは意図的にエルヴィンの存在を無視した。