過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第19章 八割まで戻せ
ナナシとしても確かにエルヴィンの血は最高に美味しいと思っているが、
その理由がソロモンの血筋だからと知ってしまった今となっては
口にする事が憚られ、リヴァイとミケの血を飲むという
選択をしたのだった。
エルヴィンは判然としないながらも、
ナナシの回復を優先する事を選びその意見を聞き入れたが、
その代わりリヴァイとミケを身動き一つ出来なくなるまで
椅子に縛り付けた。
縛り付けられたリヴァイとミケは、
縄を解こうと躍起になりながらエルヴィンに説明を求める。
エルヴィンはそんな二人を冷めた目で見下しながら、淡々と説明した。
「以前ハンジとナナバはナナシに血を飲まれて発情した。
おまえ達にもそれが起こらないとも限らない。
これはナナシを守るためでもある。我慢して縛られていろ」
「おいちょっと待て。てめぇは見てるだけで発情すんだろうが!」
リヴァイの反論にエルヴィンはフッと笑みを漏らしてから言い切った。
「馬鹿か、私はナナシが傍にいれば年中無休で発情している!」
「馬鹿はてめぇだ、クソ野郎!!」
「エルヴィン!おまえが一番危険だ!!逃げろ、ナナシ!!」
三人の会話を聞いていたナナシは気が遠くなりそうになりながら、
一生懸命現実逃避を試みていた。