過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第19章 八割まで戻せ
「二人分だ。今回も二人分の血を寄越せ。そうでなければ、
とても回復出来ない」
「わかった。では誰の血を与えるかだが・・・・」
エルヴィンはぐるりと全員の顔を見据えた後、深々溜息を吐いた。
「ハンジとナナバは却下だ」
「どうしてさっ!?」
いの一番に反論したのはハンジだったが、全員で
「当たり前だ」と冷たく一蹴する。
ナナシに血を飲まれた時の快楽を思い出していると思われる
ハンジの顔は相当ヤバかった。
頬を紅潮させよだれを流している彼女の姿を見れば
誰だって反対するだろう。
ナナバも頬を赤く染め、気怠げに息を漏らしているので
危険度は高いと思われる。
仕方ないのでエルヴィンは自分の血と、
リヴァイかミケ好きな方を選べとナナシに提案したが、
「エルヴィンの血は飲みたくない。リヴァイとミケの血を飲みたい」
と言われ、眉間に皺を寄せた。
解せない。
自分の血が美味しいと言っていたじゃないか、と
訴えてみたものの、ナナシは頑として譲らなかった。