過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第19章 八割まで戻せ
「エルヴィン、ナナシを殺す気か?こいつは訓練をしてねぇ。
そんな奴を壁外調査に同行させるなんざ無駄死にさせるだけだ」
「リヴァイの言う通りだ。俺もそれに賛同出来ない。
重体だったナナシがここまで回復したのも奇跡的だ」
リヴァイとミケがナナシを擁護したが、
エルヴィンの意志は固いようで真剣な眼差しを
ナナシに向けた。
「以前怪我をした時のように血を摂取すれば、傷の治りが早いんじゃないか?
今度の壁外調査の隊列は君の戦力も考えて編成してある。
何としても君にも参加してもらいたい。前回同様物資を失うわけにはいかないんだ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
エルヴィンの表情を見れば、本気で言っているのがわかった。
普段のエルヴィンはどうしようもなく変態だが、
団長としてのエルヴィンは公私混同はせず一切妥協を許さない男だ。
それが例えナナシであっても冷徹に「命を捨てろ」と言ってくる。
一応調査兵団に身を置く立場として団長命令に逆らうべきではない。