過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第3章 不運な男
「お、おまえの婚約者のナナリーにちょっと頼まれ事をされて・・・、
その報告をしに来ただけだ」
「頼まれ事だと?それは何だ?」
「言えねぇよ!ナナリーからもおまえには内密にって言われたんだ!」
「・・・では質問を変えよう。何故おまえがナナシを知っている?」
「知らねぇよ。会ったこと無いから、さっき会った四人組に
呼んでもらおうと思ったら、ここに連行されちまったんだ」
ここにナイルを連行したのはリヴァイ班の四人だった。
彼らはナナシを慕い、銃撃されたと知らされた後、
何度もナナシの病状を尋ねてきていた。
曖昧にしか与えられない情報の中、突然憲兵団の師団長様が
ナナシを尋ねてきたので、彼らはエルヴィンにナイルを引き渡すのが
一番だと判断したらしい。
エルヴィンは心の中でリヴァイ班四人に称賛を送った。
「ナナリーが・・・家を転々としてるから、
調査兵団にいるナナシって奴に会ってくれと言ったんだ。
それだけで、俺は本当に何も知らない」
ナイルの口調から本当に何も知らないのだと判断したエルヴィンは
大きく息を吐いた後、威圧するような眼光をナイルに向けた。