過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第19章 八割まで戻せ
――またナナシがこの部屋で花茶を淹れてくれるなんて、
何て嬉しい事だろうか。
そんな感慨に耽っていると花茶を淹れたナナシが
テーブルに六個ティーカップを並べ、
用事は終わったとばかりに出ていこうとしたので
五人で慌てて止めた。
「何で出て行こうとするのさ!?一つはナナシの分だよ!」
「ほら、お菓子もあるからお茶くらい一緒に飲もうよ!」
ハンジとナナバの言葉を聞いたナナシは少し悩んだが、
大人しくソファに座り一緒にお茶をする事にした。
・・・ただし、エルヴィンの隣の席ではなく、
出来るだけ遠くの対極の席に座った。
皆がいる中で襲い掛かっては来ないだろうが、
尻を揉んだり胸を触ったりしてくるかもしれないので
傍には座らない方が良いだろう。
そんなナナシの態度にエルヴィンが落ち込んだのは言うまでもなく、
ちゃっかりナナシの近くに座ったリヴァイとミケを
恨みがましく睨みつけたのだった。