過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第18章 寄付してくれた婦人
エルヴィンはその態度にムッとしながら更に詰め寄る。
「まだソロモン団長の事が忘れられないのか?」
「・・・・・・・・」
無言を肯定と受け止めて、エルヴィンは更に苛立ちを強めた。
あれだけ自分の命を惜しんでくれるというのに、
ナナシは自分を愛してくれていないのか・・・。
ナナシがそれほどまで愛するソロモン団長とは
どのような男だったのか気になり、エルヴィンが考えに耽っていると、
不意に左頬に柔らかく温かいものが触れ、我に返った。
そちらに視線を向けるとジャンプしたナナシが着地しているところで、
そこで漸くエルヴィンはナナシにキスされた事に気づき
硬直した。
「そんな情けない面をするでない。団長らしく毅然とした態度でいろ、坊」
クスクス微笑うナナシにエルヴィンの頭と下半身はカッと熱くなり
「ナナシっ!!」
その思いのまま飛び掛かったら綺麗な巴投げを食らい、
応接室の窓をぶち破る羽目になった。