過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第16章 襲われる
「先程、調査兵団本部周辺で不審人物を捕えた。
どうやら人身売買を商う闇商人だったようだ。
商人は手の爪2つで私に興味深い話をしてくれたよ。
何でもここの兵士が銀髪碧眼の若い兵士を安値で
売ってくれると言っていたそうだ」
顔面蒼白になった四人に追い打ちを掛けるように、
エルヴィンは冷たい眼差しを向ける。
「君達は・・・一体いくつの爪を失えば本当の事を話してくれるかな?」
二ィィ・・・と口の端を吊り上げたエルヴィンに
四人は絶句し、泣きながら事の仔細を饒舌に語った。
四人はあっさりナナシを襲ったことを認めた上、
ナナシを襲うように頼まれたのだと黒幕の名前も吐いた。
どうやらエルヴィンに身も心も捧げる狂信的な女性兵士に
頼まれたようで、エルヴィンはその名前を聞いて
眉を吊り上げる。
その女性兵士は秘書のような補佐官で、
ナナシがいなくなった後も鬱陶しいくらいの献身ぶりを
エルヴィンに発揮していた事を思い出した。
リヴァイも王都に出張に行った際、
その補佐官がナナシに嫌味を言っていたなと思い出して
「女はつくづく恐ぇな」と零すと、ある事に気づいた。
エルヴィンも同じ事に気付いたらしく、
その場をミケとハンジに任せて部屋を飛び出し、走り出す。