過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第13章 一生許さないで
「何故だ?私は罪人なのか?何故自由に行動してはいけない!?
お主らに私の行動を制限する権限でもあるのかっ!?
私は今まで調査兵団の為に仕事をしてきたつもりだ。
それなのに、この仕打ちはあんまりではないかっ!?」
一気に捲し立てると、ミケは眉尻を下げ
本格的に困ったというような表情をした。
ナナシの言っていることが正論だとわかっているのだ。
しかし、エルヴィンが命令した調査兵団の為に
ナナシを手放さないように監視する必要性もわかっている。
「・・・おまえの言う通り、俺達におまえの行動を制限する権限は無い。
だが、怪我をしているおまえを出かけさせる訳にもいかない」
「では怪我が治ったら、出て行って良いという事だな?」
「・・・・・・・・・・・・」
その言葉でナナシが調査兵団から出て行きたがっている事が窺え、
ミケは眉を寄せる。
エルヴィンとリヴァイの話では、
ナナシが何故距離を置きたがっているか口を噤んで
理由を話さないらしい。
「何故、そこまでして出て行きたい?
今更壁外調査が恐くなったなんて事はないだろう?」
「・・・ミケには関係無い。それより腕を離せ」
グッと腕を引いてもミケはナナシの腕を離さなかった。
聞こえなかったのかと思ってミケを見上げると、
そこには怒りに満ちた表情をしている顔があった。