過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第13章 一生許さないで
ナナシは頬を膨らませながら、森の中を歩いていた。
―――エルヴィンは相変わらずイカれているっ!!
何故そこまでして自分の心の中に生き続けたいのか・・・・、
ナナシは複雑な想いを抱いていた。
エルヴィンは自分に妄執し過ぎている。
やはり、このままここにいてはエルヴィンの為にならないと思った。
訓練場である森を抜ければ街に出られるだろうかと思い、
森の奥へ歩き出そうとすると、腕を掴まれ
引き止められてしまった。
「ナナシ、これ以上進む事は許可されていない」
静かに言われた言葉にナナシは眉を寄せ、
腕を掴んでいるミケを見上げる。
「許可?何の許可だ?」
責めるような声色で告げれば、ミケは一瞬困ったような顔をしたが、
すぐにいつもの冷静な表情に戻り
「おまえが調査兵団の敷地から出るには
エルヴィンの許可が必要になった」
と、事実だけをありのまま伝えてきた。
八つ当たりだとわかっていたが、
それに対してナナシはミケに怒りをぶつける。