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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】

第13章 一生許さないで








クスクス一人で笑っていたら、
いつの間にかやってきていたリヴァイが怒りの形相で
鉄格子を蹴ってきたので、妄想を打ち切り
リヴァイに視線を向けた。


「・・・気持ち悪い奴・・・。一人で何ニヤニヤしてやがる。
てめぇナナシに何言いやがった」

「別に。いつものように愛の告白をしただけだよ」

「・・・・・ナナシはてめぇに牢から出るように
言いに来ただけのはずだったが?」

「それは断った。ナナシが許してくれない限り出ないと言ったら、
怒鳴られたけどね」

「クズだな、てめぇ。ナナシのお人好しに付け込もうとすんじゃねぇよ」

「何とでも。・・・ところで、ナナシはどうした?」

「むくれながら足早にどっか行った。ミケが着いてるから心配無い」


リヴァイの言葉にエルヴィンはガタッと椅子から立ち上がり、
「すぐ追いかけろ」と声を荒らげた。


「馬鹿か!?おまえは!ミケはナナシを狙っているんだ。
今のナナシは格好の生贄で、ミケは野生化したケダモノだ!
万が一の事があったらどうするっ!?」

「あぁ?ミケもてめぇにだけは言われたくねぇだろうよ。
ナナシが誰かのものになるのが嫌なら、
とっととそこから出て来い」

「断る。まだダメだ」




―――そう、まだダメだ。
ナナシがもっと自分を意識するまでは・・・。


リヴァイはエルヴィンに白い目を向けながら
「そうかよ」とだけ吐き捨てて、行ってしまった。

再び静まり返った地下牢でエルヴィンは、
誰に言うでもなくポツリと零す。



「いくら身体を奪っても、心は得られなかったんだよ・・・。
まずはナナシの心の中に巣食う幻影を始末しなければね・・・。
・・・・そうだろう?ソロモン団長」


顔も知らぬ男に嫉妬心を抱きながら、
エルヴィンは様々な事に思考を巡らせた。





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