過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第10章 眷属達の想い
三戦目の途中で、突然現れたジェリーにチェスをバラバラに
叩き落とされたエルヴィン達は一瞬固まった。
ジェリーはそんな二人の様子を気にすること無く、
マイペースに「酔っ払った」と声を上げ、弟のジャックに絡み始める。
「どうせ、負けてたんだろ?」
「・・・・・・そうですね。あのまま続けていたら負けていたでしょう」
ジャックの言葉にエルヴィンは眉を寄せる。
多分二戦目はジャックが手を抜いていたから、
あっさりエルヴィンが勝てた。
だが三戦目は、ジャックも本気で対峙してきたのか、
かなりの接戦となり、ややエルヴィンが押され気味でいたのだ。
あのままやっていたら、どちらが勝っていたかわからなかった。
「飲み比べは俺の負けだ。イサザ、おまえの方がどうだ?」
声を掛けられたイサザはテーブルに放置したままの
トランプの残骸を見て、ジェリーに力なく笑った。
「あー・・・ごめんなさい!途中でトランプやめちゃってました!!」
「馬鹿か、てめぇ!!」
「だから、ごめんなさいってば~」
突然始まった言い合いにハンジ、ナナバ、リヴァイ、ミケは
目を見開いて驚いた。
ジェリーとジャックが負けを宣言したという事は、
この勝負は自分達の勝ちという事だろうか?