過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第10章 眷属達の想い
呆然としている内に、イサザはハンジ達のテーブルを離れ、
苦笑いを浮かべながらジャック達と合流し
「それで、お二人の答えは出ました?」
と二人の顔を覗き込むように見つめた。
覗き込まれた双子は、一瞬互いの顔を見合わせ、肩を竦める。
「不本意ではありますが、主を一人きりにするよりは良いでしょう。
私の収穫は『頭脳』と『強い意志』」
「ボクの収穫は『底抜けの明るさ』『思慮深さ』。ジェリーさんは?」
「・・・『何気ない気遣い』『勘の鋭さ』・・・・あと『馬鹿』」
『馬鹿』という言葉にジャックとイサザはプッと吹き出して笑った。
意味の分からないエルヴィン達はそんな三人を黙って見守る。
「馬鹿って何ですかっ!?馬鹿って・・・。
それ長所なんですか?ジェリーさん、ちゃんと探りました?」
「うっせー、歴とした長所だ。馬鹿だが愚かじゃねぇ」
「へぇ~、ジェリーさんにしては気に入ったって事ですか?」
ニヤニヤ笑うイサザに拳骨を落としたジェリーは煙草に火をつけ、
そっぽを向く。
それを見たジャックが「では、三人合意したとみなしましょう」と纏め、
漸くエルヴィン達の方へ向き直った。