第1章 01.怒涛の日々
跡「そうか。なら、とりあえず1週間、試用期間を与える」
『試用期間…?』
理「やったー!ありがと、跡部!」
きっと私の頭の上には「?」が沢山浮かんでるだろう。
そこで私は理恵に問いかける。
『理恵、話が見えないんだけど。』
理「あれ?行ってなかったっけ?私、テニス部のマネージャーになるの!」
『それは聞いてるけど…』
理「でも、さすがに私一人じゃ回せないから、もう一人追加で募集するって言うからさ。」
『ね、ねぇ、もしかしてその『もう一人』って…?』
理「そう!さすが、凌香物分りがいい!」
そりゃ、1年もあの騒がしい兄弟と一緒に過ごせば感も優れるわ。
って、そうじゃなくて!
『そんな、勝手な…っ!』
跡「あーん?理恵、お前こいつに言ってなかったのか?」
理「だって、凌香、言ったら来てくれないもん」
『もんじゃなーーーい!!』
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飛び交うテニスボール。
結局私は見学をする羽目になって、コートの外から練習風景を眺めていた。
そりゃあ、ここのテニス部は名門って事はさすがの私でも知っている。
そして、テニス部の連中はイケメンばかりで、女子に大人気。
そんな中でマネージャーやれって?
『(……普通に考えて無理だろ。)』
やっぱり断ろう、と私は決心して跡部に声を掛ける。
『跡部、私やっぱ無理だよ』
跡「あーん?まだ体験もしてねぇだろ」
『そうだけど…私この中でやってく自信が…』
?「何々?凌香、マネージャーやるの!?」
『え、…ジローちゃん…』
私の後ろから腕を回して抱きついてきたのはテニス部の芥川慈郎だった。
跡「ジロー、こいつと知り合いか?」
芥「知り合いって言うか、かの…『中1からのクラスメートです!』…チッ」
『(今舌打ちした…⁉︎)』
芥「で?凌香、マネージャーになるのー?」
『いや、今それを断って…「やったー!!」…聞けよ…」
芥「じゃあ、これからずーっと一緒だね!」
『いや、あの…』
芥「決まりだね!!…『…はぁー…わかったよ、やるよ。取り敢えず試用期間だけね…』」
私はジローちゃんの押しに負けて、跡部に向かってそう伝えた。
ついでに理恵からも熱烈なハグを頂いた。
『(私はまた怒涛な日常に足を突っ込むのか…)』
私は肩を思いっきり落としながら、理恵のハグを受け入れた。