第5章 【誕生日編】
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英二先輩のバカ!
どうせ私は歳下の、色気なんて無縁なちんちくりんですよっ!
歳上が好きなら、最初から私なんか相手にしなければよかったじゃない!
沢山の女の子たちとメールしてたり、女子大生と遊んだり・・・
私のこと、好きってあんなに言ってくれてたけど、本当はみんなに言ってたんじゃないの!?
『おねーさんたち色っぽいにゃーって思ってたくらいで・・・誰にだってあんじゃん!歳上に憧れる時期なんだって!』
英二先輩の言葉に涙が溢れて、そのまま部室を飛び出した。
たくさんの生徒たちが振り向く中、夢中で走って、走って、走りぬけた・・・
もう苦しくて、これ以上走れなくて立ち止まると、ハァ、ハァ、と切れる息を整えながら、そっと来た方向を振り返る。
先輩・・・追ってきてもくれない・・・
やっぱり私より彼女の方が好きなの・・・?
昨日、部活の途中で買出しに出たときのこと。
偶然、商店街で英二先輩と大石先輩を見かけ、嬉しくて駆け寄った。
せんぱ____・・・、声をかけかけたその瞬間、先輩たちの会話が耳に入って凍りついた。
「英二はこれからどうするんだ?」
「オレ?、もち、メグに会いに行くよん!」
「今日も行くのか!?、ここのところ毎日じゃないか?」
「だって、すんげー可愛いじゃん?、オレ、毎日でも会いたいもんねー!」
昨日の2人の会話が耳から離れなかった。
両手で耳をふさぎ、その場にしゃがみこんだ。
先輩はいつも部活が終る時間になると部室で待っていてくれた。
そのあと、毎日家まで送ってくれた。
いつも笑顔で、仲良く手を繋いで、別れ際には必ずキスもしてくれて・・・
だから、他の人にもあってるなんて、全然、気が付かなかった・・・