第2章 【意識編】
「英二先輩ってなんでいっつも同じ場所に絆創膏はってるんすか?」
「あぁ、そうだよな?俺も前から気になっていたんだ。」
「大石先輩も知らないんすか?」
「確か・・・春くらいからじゃないか?」
みんながこの頬の絆創膏のことで盛り上がっている。
でもでも、みんなには絶対教えてあげないよん?
この絆創膏は、オレだけの、大切な、すごく大切な秘密なんだから・・・
ふわぁ~、なんで春ってこんなに眠いのかなぁ・・・?
5時間目の英語の授業なんてほんとにやってらんないよ。
だいたい、毎日毎日、部活で疲れてるんだよね。
朝練もあるし、部活の後の自主トレだって欠かせないしね。
な~んて、本当は夜中までゲームしてたんだけどさ・・・
ふわぁ~、もう駄目・・・オレ、限界・・・
教科書で作った死角に大きなあくびを隠しながら、小さな声で隣の不二に話しかける。
(ねぇねぇ・・・不二ぃ・・・)
(・・・なんだい?英二。)
(オレ、もう眠くて限界〜。頼むからさ、先生にオレが具合悪そうだって言ってよ?)
(・・・自分で言えばいいじゃない?)
(むー・・・だってオレが言ったって、絶対信じてもらえっこないじゃん?、不二の言う事だったら、先生、間違いなく信用するからさー?)
(クスッ、仕方がないなぁ・・・)
「先生。菊丸くん、具合が悪いそうです。保健室で休ませてあげてください。」
不二は言う間でもなく先生からの信頼もあつい。
オレが自分で言ったって「どうせ眠いだけだろ!」なんて丸めた教科書で頭をポカリと叩かれて終わりだけど、不二の言う事ならどの先生も絶対信用するんだよねん。