第5章 promise
「政府のお偉い方も感心してたぜ。いい成績残すだけが、何も近道じゃない。良い知らせがあるといいな」
「ああそうですね。それに期待するとしますよ」
会話も少なめに、田頭は仕事中だからと早々に立ち去ってしまった。ふと、時間を確認すれば刀剣達と約束した時間になろうとしていた。手早く切り上げ、待ち合わせの場所へと向かった。
戻ってみれば、何やら異様な雰囲気がその場を包み込んでいる。一体何事だ? あまり軽くない足取りで近付いてみれば、別の審神者の刀剣達に理仁の刀剣達が喧嘩を売られている最中だった。
「おうおう、主がいないと何も出来ないのか?」
煽っているのは寧ろ刀剣よりも、審神者の方だ。理仁の刀剣達は睨みつけはするものの、反論する様子はない。事態を見守るのもいいが、一応保護者としてそういうわけにもいかない。渋々理仁は、その場へと足を踏み入れた。
「おい」
理仁が第一声を放つと、一斉に周りの野次馬達もセットで理仁の方へと向いた。和泉守は一人食って掛かるように、理仁へと詰め寄る。
「遅い! あんたがいない間に、俺達はな……」
「遅い? 時間ぴったりだぞ。これでも俺は基本的に時間厳守だ。と言っても、早く到着するという意味ではないが」
「あんたなぁ……っ、この状況わかる!? 別の審神者に喧嘩売られてるの! わかるか!?」
声を荒げる和泉守に対し、理仁は少しだけ鬱陶しそうに眉間にしわを寄せた。ちらりと喧嘩を売ったと思われる審神者を見れば、にやにやして理仁へと近付いて来る。