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刀剣乱舞 盤上のクロッカス

第12章 crocus



「そういえば国広、お前どうやって闇落ちから戻ってこれたんだ? そんな例は他にないって政府の人が言っていたぞ」

「……? ああ、そういえば後遺症も特にないな」

「そうだな。瞳もちゃんと綺麗な空色だ」

「……ッ、それは一々言わなくていいだろう! まぁ……なんだ。何となく理由はわかるさ」

「ん? なら教えてくれ」

「……いつかな」


 変えられない過去を嘆くより、罪から生まれた罰に怯えるより。いくらでも形を変えることが出来る未来に期待して、隣にいる誰かの肩を借りて背中を借りて。寄りかかりながらも。一緒に歩いて行けたなら。

 この記録は、数ある審神者と刀剣男子によるほんの一部のものでしかない。宝条理仁と刀剣男子、山姥切国広の上層部崩壊事件は一部のサニワちゃんねるにて噂となり、審神者同士の交流会でも度々話題の中心となった。
 理仁は持ち前の能力を活かし、今では審神者成績一位を獲得していた。彼が一位の座につくことを嫌っているのを知っていた山姥切からすれば、理仁があれから大きく変わった証だと思えた。

 彼らの行いは政府に認められ、これを教訓とし上層部が総入れ替えとなったのを風の噂で理仁は耳に入れる。しかし今の彼には、もうどうでもいいことであるためすぐに興味は薄れてしまった。

 それから暫くして、政府で働いていた佐伯が審神者になったという噂が流れ始めるのだが……――理仁達の耳に入るのはまだだいぶ先のことだ。

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